【特集 心不全と電解質バランス】
低Na血症
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.2 No.2 27-33,
2012
著者名
廣谷信一
/
増山理
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Fluid Management Renaissance
「Summary」 心拍出量の約20%が腎臓に供給されるが, 心不全では心拍出量の約10%程度に半減する. 腎血流量が減少すると, レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)が活性化される. アンジオテンシンIIは輸出細動脈を収縮させ, 同時に近位尿細管における水, Naの再吸収を亢進し, 糸球体濾過量および血圧・体液量を維持させる. 有効循環血漿量が減少すると近位尿細管での水, Naの再吸収が亢進し, ヘンレループ上行脚, 遠位尿細管に届くNaClが減少する. また, アルギニンバソプレシン(ADH)の非浸透圧性の放出が生じる. これらにより腎臓における自由水の排泄低下が生じ, 低Na血症が生じる. 低Na血症により, さらに緻密斑におけるレニンの放出を介してRAASが亢進する. 心不全に合併した低Na血症を理解し治療するためには, 循環器内科的な知識のみならず腎臓内科, 内分泌内科的な知識が必須である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。