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特集 “心腎連携”が必要な病態の理解と対策

特集にあたって

筒井裕之

Fluid Management Renaissance Vol.2 No.1, 8-8, 2012

心臓と腎臓という生体にとってきわめて重要な2つの臓器は, 血行動態や神経体液性因子を介して密接に関連しており, 両臓器の機能はきわめて精巧にバランスをとりながら制御されている. 近年, 心臓と腎臓が生理的状態のみならず病的状態でも相互に関連し病態を形成していることが明らかとなり, 「心腎連関」という概念が提唱されている. このような心・腎の連関が改めて認識されるようになったのは, 多くの疫学研究や大規模臨床試験の解析により慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)が強力かつ独立した心血管リスクであり, CKD患者は末期腎不全から透析に至るリスクよりも心血管病を発症し死亡するリスクのほうが高いことが認識されるようになったことによる. 一方, 心疾患患者の予後は腎機能の影響を受け, 最終的には心・腎不全に至る. さらに, 高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病とともに, CKDの患者数はきわめて多いことも明らかとなっている. このことは, 循環器内科医が心血管病の診療においてCKDを狭い腎疾患と捉えることなく心血管リスクとして診療にあたる「心腎連携」が必要であることを示している. すなわち, 心・腎に共通する病態生理の理解, 診断のための検査, 腎機能保持を念頭に置いた心血管病の治療, 心血管合併症を考慮したCKDの治療が求められる. しかしながら, 心・腎に共通する基盤病態や心腎保護をめざした治療戦略など, そのつながりに関する理解, さらにはそれらを踏まえた循環器内科医や腎臓内科医の連携は十分とはいえない. 本特集では, 心腎連関を踏まえた心腎連携が必要な病態として, 心血管リスクとしてのCKD, 心不全における低Na血症と貧血, 腎血管性高血圧, 透析患者における血管合併症, コレステロール塞栓症, 造影剤腎症を取り上げ, 循環器病学と腎臓病学の2つの領域の第一線の専門家に執筆いただいた. 本特集が, 循環器内科医や腎臓内科医はもちろんのこと幅広い内科医が心腎連関の理解を踏まえて心腎連携を実践する一助となれば幸甚である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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