Summary 低Na血症の原因の1つに,抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)が挙げられる。治療法としては,水分摂取量の制限が第一選択であるが,近年バソプレシン(AVP)V2受容体拮抗薬が低Na血症を伴ったうっ血性心不全やSIADHに対する治療薬として注目されている。 また,SIADH類似疾患群としてAVP V2受容体の遺伝子異常によりSIADH様症状を呈する腎性水利尿不全症候群(NSIAD)が報告された。 低Na血症の鑑別にはAVP測定は必須であるが,正確な測定は難しい。近年,AVP前駆体の構成成分であるコペプチンがAVPに比べ迅速に測定でき安定性があることから,さまざまな分野でAVPの代用として測定され,有用性が報告されている。 しかし,AVP V2受容体拮抗薬やコペプチンはSIADHの治療や検査法としての有用性に問題点が多くみられる。また,NSIADは不明な点も多く,今後の症例の蓄積や研究の進展が必要である。