はじめに  バソプレシンは,一般にAVPと標記される。AVPとは,arginine vasopressinを略した標記文字である。バソプレシンは9個のアミノ酸(Cys-Tyr-Phe-Gln-Asn-Cys-Pro-Arg-Gly-NH2,分子量1,084)からなるペプチドホルモンで,第1,6番目にシステイン(Cys)をもち,ジスルフィド(S-S)結合による環状構造をとる。ヒトをはじめほとんどの哺乳類のバソプレシンは第8番目のアミノ酸がアルギニンであることから,バソプレシンのことをAVPと標記する場合が多い。なお,ブタや一部の哺乳類では第8番目のアミノ酸がリジン(lysine)であり,この場合はLVP(lysine vasopressin)と標記される。AVPとLVPで,生理的作用に特に差異はない。