Summary
体液量の調整には体内のNa+をコントロールすることが重要であり,利尿薬による腎尿細管でのNa+再吸収の抑制は心不全治療の鍵となっている。利尿薬の作用部位に応じてその作用強度は異なるが,ループ利尿薬は他の利尿薬と比べて利尿効果が強いため心不全治療の中心的な役割を担っている。一方で,抗アルドステロン薬はその利尿効果に加えて心筋の繊維化や血管の石灰化を促す神経体液性因子を抑制することで,追加投与による心不全の予後改善が確認されている。近年,ヒト心房性Na利尿ペプチドやバソプレシンV2受容体拮抗薬などの新しい利尿薬の登場がみられているが,今日の心不全治療において抗アルドステロン薬以外の利尿薬による長期的な生命予後の改善効果は明らかでない。それぞれの利尿薬の特性を理解し,心不全の病態に応じた適切な利尿薬の使用を行うことで心不全の長期予後が改善することを期待する。
全文記事
利尿薬と心不全
心不全治療における利尿薬の位置づけと使い方
Diuretic management in heart failure
掲載誌
Fluid Management Renaissance
Vol.1 No.1 58-64,
2011
著者名
菊池祥平
/
木村玄次郎
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
腎臓
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
腎臓内科
/
老年科
/
手術・救急
媒体
Fluid Management Renaissance
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。