利尿薬と心不全
(座談会)利尿薬の進化と心不全治療の変遷
Fluid Management Renaissance Vol.1 No.1, 9-19, 2011
心不全治療の歴史において,利尿薬は非常に重要な役割を果たしている。心不全の病態のうち浮腫・うっ血は大きな問題であり,強力な利尿作用をもつループ利尿薬によって対処されてきた。しかし,Na利尿を行うループ利尿薬は低Na血症などの電解質異常が近年問題視され,腎保護の観点から投与法の見直しを迫られている。心不全治療における利尿薬の位置づけと使い方を模索するこの時代に,心不全の病態を的確に捉え利尿の仕組みを改めて見直すことは非常に重要な課題である。また,2010年末にはNa利尿を伴わない新たな作用機序をもつ水利尿薬が登場し,臨床現場で治療の選択肢が増えつつある。本座談会では,利尿薬の進化と心不全治療の変遷について,各専門の先生方にご解説いただいた。
日本医科大学内科教授
飯野 靖彦(司会)
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
循環制御内科学教授
磯部 光章
日本医科大学千葉北総病院内科学(循環器部門)教授
清野 精彦
聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科准教授
柴垣 有吾
飯野 この度,新学術雑誌「Fluid Management Renaissance」が創刊される運びとなりました。心不全における体液貯留に対してループ利尿薬が投与される時代が長く続きましたが,ループ利尿薬の大量投与による電解質異常と予後の悪化が報告されており,体液貯留に対する治療の仕組みを「Renaissance=再生」の観点から見直す時期に来たといえるでしょう。本日は「利尿薬の進化と心不全治療の変遷」と題して,専門の先生方にお集まりいただきました。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。