New Arrival & Comment 新着論文解説
要訳と解説(1)破骨細胞形成におけるミオスタチンの機能
Dankbar B, Fennen M, Brunert D, et al. Myostatin is a direct regulator of osteoclast differentiation and its inhibition reduces inflammatory joint destruction in mice. Nat Med. 2015 ; 21 : 1085-90.
掲載誌
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
Vol.6 No.3 24-28,
2016
著者名
矢野 雄暉
/
浅原 弘嗣
記事体裁
抄録
疾患領域
骨・関節
/
膠原病・リウマチ性疾患疫
診療科目
リウマチ科
/
整形外科
媒体
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
「概要」増殖分化因子(growth differentiation factor;GDF)-8として知られるミオスタチンは,トランスフォーミング増殖因子(transforming growth factor;TGF) -βファミリーの一種で,骨格筋でおもに発現し,ミオスタチン遺伝子(Mstn)を欠失させると筋肥大が引き起こされ,ミオスタチンが筋増殖,筋再生の負の調節因子である,ということがこれまでの研究で明らかになってきた.また,ミオスタチンを欠損させると,体脂肪量が減り,インスリン抵抗性が改善されるといった報告もある.しかし,骨代謝との直接的なかかわりについてはほとんど明らかにされていなかった.本論文は,破骨細胞形成と関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)での関節破壊にミオスタチンが果たす役割について明らかにしたものである.ミオスタチンはRA患者,およびヒトRA のモデルである腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)-αトランスジェニック(hTNFtg)マウスの滑膜組織に多く発現し,転写因子SMAD2 依存的nuclear factor of activated T-cell(NFATC1)の調節による,receptor activator of nuclear factor κB ligand(RANKL)を介した破骨細胞形成を強力に促進した.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。