Basic knowledge 骨粗鬆症講座Q&A
骨細胞とスクレロスチンについて教えてください
掲載誌
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
Vol.6 No.3 15-21,
2016
著者名
渡部 玲子
/
井上 大輔
記事体裁
抄録
疾患領域
骨・関節
診療科目
整形外科
媒体
O.li.v.e.―骨代謝と生活習慣病の連関―
「Question 1」「スクレロスチンが同定された経緯について教えてください.」
「A」スクレロスチンは骨細胞から分泌される生理活性物質です.発見の契機は,著明な骨量増加を示す硬化性骨化症(OMIM269500)において,スクレロスチンをコードするSOST遺伝子の変異が2001年に同定されたことです1).本疾患では17q21-21に存在するSOST遺伝子の不活化変異によってスクレロスチンの活性が低下しています.また,類縁疾患であるvan Buchem病(OMIM239100)においても,SOST遺伝子の下流転写調節領域の52kbpのホモ欠失が特定され,SOST遺伝子の発現低下が病因であることが明らかになりました2).これらSOST遺伝子関連疾患では,全身性進行性の骨形成亢進を伴い,高骨密度となります.マウスの遺伝子操作実験でも,SOSTノックアウトでは骨形成亢進に基づく高骨密度を呈し,逆にSOSTを過剰発現させると骨形成低下により低骨密度になることが確認されています.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。