(座長)国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授/山王メディカルセンター・女性医療センター長 太田博明先生
(座長)帝京大学臨床研究センター(TARC)センター長 寺本民生先生
「自覚がなく,潜在化しやすい骨粗鬆症」日本人女性における骨粗鬆症の頻度は,平均閉経年齢の50歳を過ぎた頃から急激に上昇し,60代で3人に1人,70代では2人に1人と半数を占める.ところが,疾患の特性として自覚症状に乏しいために,骨粗鬆症検診の受診率はいずれの年代も5%を下回っている.そのため転倒し,骨折してはじめて骨粗鬆症と診断されるケースは依然多い.骨粗鬆症患者の骨折を予防し,積極的な治療を実現するためには,まずは無自覚者の対策が重要となる.骨粗鬆症患者を対象としたwebを用いたアンケートにおいて,骨粗鬆症を指摘されてからすぐに受診しなかった理由を聞くと,1位「痛みなどの自覚症状がなかったから」,2位「食生活に注意し,運動などを行えばよいと思ったから」であった.この結果からも,骨粗鬆症という疾患に関する医療者側からの積極的な情報提供や,検査,治療の必要性を啓発することの重要性が改めて認識される.