(座長)東京大学大学院医学系研究科抗加齢医学講座特任教授 井上聡先生
われわれはin situ蛍光計測を用いて骨細胞の機能解析を行った.16週齢のラット大腿骨で蛍光2重免疫染色をすると,たとえばスクレロスチンとDMP1はシグナルが重なるため,それぞれ赤と緑のラベリングをして画像を重ねるとオレンジ色や黄色のシグナルとして観察される.一方でFGF23とDMP1の蛍光2重免疫染色では,FGF23のシグナルが強い骨細胞ではDMP1が弱く,逆にDMP1が強い場合にはFGF23が弱く,重ね合わせてもオレンジ色や黄色のシグナルはあまりみられない.3次元蛍光計測によって,より骨幹部に近い部位で観察すると,骨髄側の骨細胞はFGF23をよく発現しており,DMP1を発現している骨細胞は外骨膜側に多く分布することがわかった.Gradient表示では,FGF23とDMP1の発現には逆相関関係があることを示唆する所見が得られ,組織画像を2分割して内側と外側で蛍光の強度を平均化すると,逆相関関係を裏づけるような結果が得られた(図1).