「概要」血管石灰化は糖尿病性血管障害において高頻度に認められる変化であるが, なぜ糖尿病患者において血管石灰化が促進されるのかについては, 石灰化促進因子の過剰な凝集や骨形成抑制因子の低下などが示唆されているものの, いまだその正体は明らかにされてはいない. Eghbali-Fatourechiらによってヒト末梢血中における骨芽様細胞の存在が明らかとなり, その細胞を用いてin vitroおよびin vivoにて石灰化が誘導されることが示された. しかし, オステオカルシン(OC)および骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)ともに陽性であるこの骨芽様細胞の由来は不明であった. 筆者らの実験の結果, ヒト末梢血より採取した末梢血単核細胞(PBMCs)のうち, フローサイトメトリー(FCM)にて単離したOC+/BAP+細胞をCD1ヌードマウスに皮下移植したところ, 各種対照群に比し著明な血管石灰化をきたした.