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High-Impact Articles

抗線維化作用を有する低分子化合物PRI-724のHCV肝硬変に対する安全性,忍容性および有効性に関する研究;1施設,オープンラベル,第Ⅰ相試験

味澤篤

HIV感染症とAIDSの治療 Vol.10 No.1, 96-99, 2019

肝硬変(liver cirrhosis;LC)は,先進国における成人の死因として重要である。肝硬変は,肝炎ウイルス,アルコールなど,さまざまな原因の結果生じる。肝臓の線維化は,慢性的な肝臓のダメージにより生じる過度の治癒反応であり,肝細胞外に過剰な蓄積物を生じさせる2)。C型肝炎に対する抗ウイルス療法が,肝臓の線維化を予防し,肝機能を改善させることは明白であるが,肝臓の線維化を直接的に治しているわけではない。
1982年に発見されたWnt/βカテニン伝達系は,ショウジョウバエから哺乳類にいたる多くの生物の発生をつかさどっている。さらに成熟哺乳類では,各種組織の幹細胞分化の重要な因子でもある。したがってWnt/βカテニン伝達系は,さまざまな疾患や癌とも関係がある。この伝達系により,肺・腎臓・皮膚・肝臓などで線維化が生じる3)。著者らはcAMP応答配列結合蛋白質(cAMP response element binding protein;CBP)-カテニンの阻害物質であるPRI-724が,マウスモデルで肝臓の線維化を改善させることを示した4)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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