テノホビルアラフェナミド(TAF)は,テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)と同様に核酸系逆転写酵素阻害剤であるテノホビル(TFV)のプロドラッグであるが,TDFと異なり,血漿中ではなくリンパ球細胞内で加水分解されてTFVとなるため,TDFよりも腎尿細管上皮細胞に取り込まれにくく,腎尿細管機能障害や骨密度低下をきたしにくい薬効動態をもつ薬剤である。臨床試験においても,推定糸球体濾過率,尿蛋白,尿アルブミン,レチノール結合蛋白,β2-マイクログロブリン(β2MG),骨密度のいずれもTAF投与群で優れた結果が認められている。腎機能低下症例にも適応が拡がっているため,TDFよりも幅広く使用されることが期待される。
「KEY WORDS」tenofovir disoproxil fumarate(TDF),腎障害,尿細管障害,骨密度