「Summary」抗HIV療法(ART)により,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者の長期生存が可能になった。そのため,ARTによる脂質異常症,糖尿病,高血圧症の増加や,テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)による腎機能障害で,HIV感染CKD(慢性腎臓病)患者が腎代替療法を選択する場面が増えている。今や,腎代替療法の第一選択は血液透析や腹膜透析ではなく,腎移植である。HIV感染CKD患者に対しても,血液透析より腎移植で生命予後が改善するが,拒絶,薬剤相互作用,B型・C型肝炎の対応,移植後感染症など,通常の腎移植以上に注意が必要である。HIV専門感染症医は,腎移植の選択肢を常にもつとともに,いつでも相談できる移植医,腎臓内科医との連携が必要である。
「Key words」HIV,CKD,腎代替療法,生命予後,腎移植,血液透析
「Key words」HIV,CKD,腎代替療法,生命予後,腎移植,血液透析