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Trend & Topics 痛みと学習

自閉スペクトラム症と痛み

熊谷晋一郎

Practice of Pain Management Vol.5 No.4, 28-31, 2014

「はじめに」自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorders;ASD)とは「社会的コミュニケーションと社会的相互作用における持続的な欠損」と,「行動,興味,活動の限局的かつ反復的なパターン」の二つの特徴によって定義される神経発達障害である1).ASDにおける社会的コミュニケーション障害の背景には,他者の可視化された行動の原因を,可視化されていない心理的状態(意図,感情,知識,信念)に推測的に帰属させる能力に問題があるとされている.行動の原因を心理的状態に帰属させるメカニズムに関して,社会心理学のなかでは「帰属的推論に関する二段階モデル」が提案されている2).二段階モデルでは,帰属的推論の過程は,はじめに同定(identification),続いて帰属(attribution)という二段階を経て処理されると考えられている.この二段階に用いられる神経回路は,痛みとも深いかかわりがある.以下では,同定と帰属にかかわる神経回路についてそれぞれ説明しつつ,その失調の観点からASDと痛みの双方を解釈することを試みる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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