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Trend & Topics 中枢性疼痛

脳梗塞後疼痛

永野靖典

Practice of Pain Management Vol.5 No.2, 24-30, 2014

「はじめに」脳卒中後の障害側の疼痛が, その後の治療やリハビリテーション, ADL, QOLに多大な影響を及ぼすことは周知の事実である. 疼痛はひとつの病態にとどまらず, 複数の原因にまたがっていることも多く, さらに心理的・社会的要因が絡まってくることもある. 『平成24年度版高齢社会白書』によれば, 要介護の原因としての脳卒中の割合は, 全体で21.5%, 男性では32.9%と非常に高い. 障害側の運動麻痺, 感覚障害や高次脳機能障害などの要因もあるが, 障害側の重篤な疼痛によっても大きな影響を受ける. 本稿では, 脳梗塞後疼痛に関する代表的な病態とその治療を詳述する. 「視床痛」脳卒中後, 障害側の上下肢に特徴的で重篤な痛みを呈することが知られており, その代表的なものとして, 視床痛と肩手症候群がある. 視床痛は, 1906年にDe jerineとRoussyの報告1)が最初であり, 視床後腹側核の障害が原因とされた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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