前号まで
大震災後の日本に必要なのは,ひとりひとりのresilience である.連載④ 1)では,「希望」や「期待」をもつことで脳内活動が大きく変化し,生命機能や精神活動が活性化することをplaceboを例に挙げて述べた.たとえ小さな希望/期待であっても,報酬回路2,3)が刺激され→快の情動→行動→期待のサイクルが循環しだすと,生命活動や創造意欲が盛んになる.
辺縁系,大脳基底核,中脳の神経回路網など,ほとんど意識に上らない潜在的な脳の働きが,機能的脳画像や脳内物質の変化として解析されている.痛みによって活性化するdopamine systemとopioid system,下行性痛覚抑制系や下行性痛覚促進系との相互作用を示した.末梢組織から脊髄後角を経て上行する侵害信号が,そのまま「痛み」として感じられるのではなく,上位脳から下行性痛覚抑制もしくは痛覚促進の修飾を受け,その総和が痛みの大きさとなる.
全文記事
Think about Pain
慢性疼痛と脳 第5回
掲載誌
Practice of Pain Management
Vol.2 No.4 30-40,
2011
著者名
半場道子
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
神経疾患
診療科目
一般外科
/
脳神経外科
/
整形外科
/
リハビリテーション科
/
神経内科
/
麻酔科
/
心療内科
/
精神科
媒体
Practice of Pain Management
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。