はじめに  痛みは人が生きていくうえで必要不可欠な生体危険警告系であるが,痛みが慢性化すると警告の意味はなくなり,それそのものが疾患となる1).それにともない不安や抑うつ,ADL(activities of daily living)の低下を引き起こす2).慢性疼痛患者の治療においては,疼痛を軽減するのを第一目的にするのではなく,QOL(quality of life)の改善を主目標とし,疼痛緩和はそれにともなってもたらされる副次効果と思われる.疼痛緩和の治療だけではなく,ADL向上目的のためのリハビリテーション3)や,精神症状に対する心理的アプローチ4)なども重要となってくる.