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Trend & Topics 痛みをとらえる

痛みにともなうQOLの評価

紺野慎一

Practice of Pain Management Vol.2 No.1, 26-29, 2011

痛みの評価法―背景にある考え方―
 高齢者は,若年者にくらべて,治療を必要とするほどの腰痛を引き起こすことが明らかに多い1).さらに,本邦の50歳以上で,痛みをともなう変形性膝関節症患者は820万人存在すると推定されている.高齢社会のわが国では,運動器疾患の患者数は今後ますます増加すると考えられる.

痛みの評価法―背景にある考え方―(続き)

さらに,患者の権利意識の向上や高齢者のより高いQOLへの期待から,患者の治療に対する満足度の水準は近年ますます高くなっている.痛みを訴える患者の個人的・社会的背景は1人ひとり異なっている.その結果,患者の個性や価値観の多様化にともない,運動器疾患に対する治療の選択肢は多様にならざるを得ない.医療提供側は,患者個々人に応じた治療法の提示が求められている.しかし,医療提供側にとって,その対応は必ずしも容易ではない.
 近年,運動器の痛みを有する治療対象疾患は,退行性疾患を代表とする慢性期の病態が主体となってきている.これらの疾患群では,全人的なプライマリ・ケアとしての対応と,長期治療体系の構成が医療従事者側に求められる.さらにEBM(Evidence-Based Medicine)を遂行する一手段として,各個人の状態を主観的かつ客観的に評価することが重要であり,そのためには,スコア・システムの導入が必要である.

精神医学的問題の評価法

 精神医学的問題の評価法としては,ミネソタ多面人格検査(Minnesota Multiphasic Personality Inventory;MMPI),コーネル・メディカル・インデックス健康調査票(Conell Medical Index Health Questionnaire;CMI),あるいは,自己評価うつ尺度(Self-Rating Depression Scale;SDS)などがある.しかし,これらの評価法は,精神医学専門医以外の医師にとっては,時間がかかり,評価法や解釈が容易ではない.そこで,われわれは,簡便でかつ多面的評価が可能な,整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための簡易質問票(Brief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patients;BS-POP)(表1)を作成した2).

BS-POPは患者の精神医学的問題の有無をスクリーニングするのに有用である.さらに,治療に対する患者の満足度も予測できる.この質問票は,医師に対する質問8項目と患者に対する質問10項目で構成されている.BS-POP医師用は,最低8点から最高24点である.一方,BS-POP患者用は,最低10点から最高30点である.MMPIとBS-POPの関連性の検討では,BS-POP医師用総得点は,ヒステリー尺度(γ=0.49)と心気症尺度(γ=0.43)と関連性が高い.これに対して,BS-POP患者用総得点は,ヒステリー尺度(γ=0.49)と心気症尺度(γ=0.43),抑うつ尺度(γ=0.4)と関連性が高い3).医師用と患者用BS-POPは,両者とも,年齢,性,および疼痛の程度には影響されない.BS-POPのカットオフ値の検討では,医師用を11点以上とすると感度64.3%,特異度76.3%である.患者用は15点以上とすると,感度90.3%,特異度40%である3).以上の結果から,医師用で11点以上,かつ患者用で15点以上の症例では,精神医学的問題を有する可能性が高いと判定してよいと考えられる.

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