<< 一覧に戻る

Case Report 症例報告

癒着性くも膜炎

米和徳井尻幸成山元拓哉善明美千久永吉隆作竹之内剛小宮節郎

Practice of Pain Management Vol.1 No.1, 52-53, 2010

症例
 60歳 女性
主訴
 左上肢の疼痛としびれ,両下肢筋力低下,歩行障害.
現病歴
 5カ月前から左上肢の疼痛としびれが出現する.その後,徐々に両下肢筋力低下と歩行障害が出現し,近医受診しMRIにて異常を指摘され,当科を紹介され受診する.

既往歴
 25歳時に髄膜炎(明らかな後遺症なし).
現症
 両上肢の腱反射正常,両下肢の腱反射亢進,Babinski反射両側陽性,握力右25kg,左16kg,左手骨間筋の著明な萎縮,軽度の手指巧緻運動障害,左上肢の橈側に触覚・痛覚低下,両上下肢の筋力G程度,片足立ち不能,継ぎ足歩行不能,痙性歩行(+),膀胱障害(-).
JOA score 10.5(3+0+1.5+0.5+1.5+1+3)/17.
血液・生化学検査 明らかな異常なし.
髄液検査所見 LDH 27 IU/L,細胞数1/μL,糖65mg/dL,蛋白36mg/dLとすべて正常.
画像所見 頚椎単純X-P:C6-7椎間腔狭小と骨棘形成,発育性脊柱管狭窄(+),不安定性(+).MRI:延髄から上位胸髄までT1低信号,T2高信号の空洞(+).キアリ奇形(-).C5-6,C6-7で椎間板の膨隆による硬膜の圧迫所見(+)(図1).

脊髄造影,CTM:C5-6,C6-7硬膜管の圧迫所見(+),くも膜下腔は狭いが閉塞はしていない(図2).

手術 C6,T1椎弓切除術,C6-7lateral mass screwを併用した後方固定術,空洞-くも膜下腔シャント術施行.くも膜は混濁,肥厚し,硬膜と癒着していた.T1左側DREZ(dorsal root entry zone)よりシャントチューブを空洞内に挿入し,遠位端は腹側くも膜下腔に設置した.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る