連載にあたって
痛みの神経科学の最近の話題を,4回にわたって紹介することになった.『痛みと心フォーラム』で,「慢性疼痛と辺縁系」1)を話したことが本欄へのきっかけであった.
慢性疼痛は長い間の謎であったが,機能的脳画像法の進歩によって,一歩また一歩と謎解きの段階に入っている.慢性疼痛の問題点が,少しずつ脳画像上の特徴として現れるようになった.これまでほとんど注目されなかった中脳や橋,辺縁系や大脳基底核などの古い脳が,いかに痛みを制御しているか,その制御機構が破綻した場合にどんな痛みが生じるか,精神的ストレスがいかにかかわるかなど,脳のなかに何が起きているかがわかれば,慢性疼痛への理解が容易になると思われる.痛みの概念が大きく変わりつつある現在,脳に関する話題が臨床上のヒントになれば幸いである.痛みの難問を解く鍵は,臨床と基礎分野が互いに疑問を投げあうかたちから生まれる.本稿がよき討論の嚆矢(こうし)となることを願っている.
全文記事
Think about Pain
慢性疼痛と脳 第1回
掲載誌
Practice of Pain Management
Vol.1 No.1 32-36,
2010
著者名
半場道子
記事体裁
連載
/
全文記事
疾患領域
精神疾患
/
神経疾患
診療科目
一般内科
/
整形外科
/
リハビリテーション科
/
神経内科
/
精神科
媒体
Practice of Pain Management
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。