はじめに  ヒトは生体に損傷を引き起こすような外環境・内環境(病気など)の変化を「痛み」として敏感に察知し,外環境から逃避したり,内環境の異常をみつけて,生体を防御し恒常性を維持してきた.先天性無痛無汗症やNaチャネルのひとつであるNav 1.7の遺伝子異常をもつヒトでは,生まれつき「痛み」を感じないため外的侵害刺激から自身を守ることができないことが知られている1,2).すなわち「痛み」は生存に必須な感覚であり,生体防御のための警告システムである.本稿では末梢神経での痛み刺激の受容とその伝達について概説する.