はじめに
痛みは症状であって,疾患名にはならない.しかし慢性疼痛の場合,ある疾患の症状として痛みが表れてはいるのではあるが,何がその原因なのかがわからないことも多い.最近,痛みは,血圧,体温,呼吸,脈拍に次ぐ第5のバイタルサインといわれている.しかし,前者4つは絶対的数値として表すことができるが,痛みはVAS(visual analogue scale)のような評価はあっても,絶対的な数値では表現できず,他者との比較もできないため,あくまでも個人内評価しかできない.このような背景からもわかるように,疼痛の疫学調査ははなはだ困難である.さらに単純に比較できない理由として,医療制度,生活習慣や文化的背景の違いも無視できない要素であるからである.
本稿において,痛みのなかでも特に慢性疼痛の発生頻度について,これまでの国内や海外からの報告について紹介する.
全文記事
Trend & Topics 痛みを知る
痛みの疫学
―国内外の文献から―
掲載誌
Practice of Pain Management
Vol.1 No.1 14-20,
2010
著者名
田口敏彦
/
守屋淳詞
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
神経疾患
/
骨・関節
診療科目
一般内科
/
整形外科
/
リハビリテーション科
/
神経内科
/
麻酔科
媒体
Practice of Pain Management
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。