<< 一覧に戻る

頭痛診療におけるPitfallと解決策

片頭痛で用いるバルプロ酸の量でも催奇形性の心配はあるか

稲垣美恵子

Headache Clinical & Science Vol.6 No.2, 24-25, 2015

「症例」
38歳女性.12歳頃より嘔気を伴う拍動性の重度頭痛発作を時々認めた.第2子出産後より頻度が増加し,月20日程度となった.喘息の合併症があり,非ステロイド系消炎鎮痛薬で喘息発作の誘発があるため急性期治療薬としてアセトアミノフェンを使用していたが,月15日以上の使用はなかった.慢性片頭痛と診断し,急性期治療薬はアセトアミノフェンとトリプタン製剤とした.片頭痛予防療法として塩酸ロメリジンやアミトリプチンなどを投与したが改善なく,(Pitfall①)今後妊娠は希望していないことを本人に確認したうえで,バルプロ酸徐放剤を200mg/日から開始し,徐々に600mg/日に増量した.以後,頭痛発作は月8日程度となり日常生活への支障度も改善した.バルプロ酸血中濃度は40μg/mL程度で推移していた.(Pitfall②)前回受診日の約3週間後,月経が1週間遅れていたため妊娠反応をしたところ陽性であったと来院した.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る