「一次性雷鳴頭痛は存在するか」というテーマで,お2人の専門家にproとcon双方の立場で雷鳴頭痛について論じていただいた.「一次性雷鳴頭痛は存在しない」の立場で論じていただいた橋本先生は,「器質性疾患が見つからない場合,特に繰り返すときには」可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)疑いと診断して,血管攣縮の存在を注意深く精査すべきであるとし,「雷鳴頭痛はすべて二次性頭痛と考えるべきである」と結論付けている.一方,「一次性雷鳴頭痛は存在する」の立場で論じていただいた下田先生も「一次性雷鳴頭痛は存在するにしても,その証明は極めて困難で,慎重な診断が必要である」と結論している.このように,「一次性雷鳴頭痛」の存在については,いまだ議論の渦中にあるが,お2人の議論からは,器質性疾患の存在をどのくらい否定できるのか,という点に集約されるように考えられる.症例の積み重ねによる症状分析と画像検査法の発展により,近い将来,本テーマについて真の結論が出ることを期待したい.

※本企画はテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.

総論/鈴木則宏
一次性雷鳴頭痛は存在する/下田雅美
一次性雷鳴頭痛は存在しない(RCVSである)/橋本洋一郎
・総括/鈴木則宏