「尊敬するのは努力して立派な仕事を残した人」
竹島:本日は,日本の頭痛研究の草分けである髙橋和郎先生に,ご幼少の頃のことから,研究生活での日々の思い出などのお話を伺いたいと思います.はじめに,子どもの頃尊敬していた人物を教えていただけますか.
髙橋:小さい頃から,尊敬するのは努力して立派な仕事を残した人,例えば野口英世などです.学生の頃には,ちょうど私が入局したときに東京大学(以下,東大)の総長になられた,矢内原忠雄先生をとても尊敬していました.矢内原先生は,戦前は右翼に,戦後は左翼に攻撃されながら,終始一貫して自分の道を歩まれ,ずっと戦争に反対されていた方です.戦時中に戦争に反対するのは大変なことです.私は今でも毎日,矢内原先生の全集を手に取っています.尊敬する人がいること,その人が多くの本を遺していることは,とても幸せなことです.