「サマリー」無症候性くも膜囊胞症例は治療適応においていまだにコンセンサスが得られていない.治療方針は,くも膜嚢胞の発生学,自然歴を十分に考慮し,決定することが必要である.また,頭痛や痙攣,その他の非特異的症状が必ずしもくも膜囊胞の存在と関連性があるとも言い切れず,治療後も非特異的症状が改善しない症例も多い.また小児例では必ずしも将来的に囊胞の増大を来すとも限らず,また脳への発達・機能障害を来すことに関してもさまざまな意見が混在しており,治療による合併症を考慮すると積極的な手術加療でなく経過観察の方針とすることが勧められる.

※本企画はテーマに対して,あえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません.