ヒトの身体にはさまざまな常在細菌が定着しており,その種類は約1,000種類,個体数にすると100兆以上といわれている1)。特に,消化管は最も多種多様な細菌叢を形成し,宿主であるヒトの数十倍にも及ぶ遺伝子を有する。しかしながら,腸内細菌叢は培養困難な細菌が多く,従来の培養法を基にした解析手法では,腸内細菌叢全体を網羅し解釈することが困難であった。近年,次世代シーケンサーの開発,普及とともに,培養法によらない腸内細菌叢の解析方法が飛躍的に進歩し,さまざまな疾病の発症に腸内細菌叢が関与することが示唆され,健康維持,発症予防,疾病の治療における腸内細菌叢の重要性に注目が集まっている。本稿では,出生から小児に至る腸内細菌叢の変化と,その後の小児疾患について概説する。
「KEY WORDS」腸内細菌叢,疾病,小児,腸管免疫,dysbiosis