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小児心臓移植

産科における心臓移植

三好剛一

Fetal & Neonatal Medicine Vol.10 No.1, 26-30, 2018

胎児循環が破綻した終末像が胎児水腫である。その原疾患は多岐に渡るが,多くの場合で胎児心不全より胎児水腫に至る1)。さらに心血管イベントの内訳をみると,先天性心疾患と不整脈が2/3以上を占める1)。胎児不整脈のうち,胎児水腫をきたしうるのは頻脈性不整脈と徐脈性不整脈になる。前者に対しては胎児治療が有効であり,周産期予後は改善されてきている。後者に対しては出生後のペースメーカー治療が有効であるが,多脾症候群などの複雑な心構造異常を伴う症例では依然として予後は不良である2)。一方で,先天性心疾患で胎児期から心不全が進行する症例に対しては,現時点で有効な胎児治療法はなく,早期娩出して新生児治療に移行するしかないが,現在の医療をもってしても予後はきわめて不良といわざるを得ない3)。また,先天性心疾患のなかには,胎児循環には適応できているが,外科的介入によっても出生後の循環に適応できない疾患群が存在する。これらの先天性心疾患には,小児期,場合によっては新生児期に心臓移植を行わなければ救命が困難と考えられる症例も含まれる。
本稿では,胎児心不全の診断法,先天性心疾患・不整脈の予後予測について紹介し,出生後に心臓移植が必要と考えられる症例について述べたい。
「KEY WORDS」胎児水腫,胎児心不全,胎児不整脈,胎児心疾患,ナトリウム利尿ペプチド

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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