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Special Articles

分子標的治療薬の併用療法

①肝細胞癌の免疫治療

水腰英四郎金子周一

The Liver Cancer Journal Vol.11 No.2, 22-27, 2019

癌に対する免疫治療の成否は,癌抗原の放出から始まってT細胞による癌細胞の破壊で一回りする癌免疫サイクルをいかに効率的に回転させるかにかかっている。この癌免疫サイクルにはいくつかのステップが存在し,その回転には多くの促進因子と抑制因子が関与している。免疫チェックポイント阻害薬の登場によって,癌の治療戦略は大きく変化しつつあるが,その有効性が一部の症例に限られていることは,他にもこの癌免疫サイクルのなかで障害されている部位が存在することを示している。癌種ごと,あるいは患者ごとによって障害されている部位は異なり,これらを1つずつ明らかにして,最も適した治療法を患者ごとに選択する必要がある。分子標的薬や機序の異なる免疫治療を組み合わせた複合的な免疫治療を個々の症例に適した個別化医療として行うことが癌の完全治癒には必要である。
「KEY WORDS」肝細胞癌,免疫治療,免疫チェックポイント分子,遺伝子改変T細胞,腫瘍微小環境,ペプチドワクチン,樹状細胞

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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