Special Articles
肝細胞癌のゲノム医療を目指して
②肝細胞癌におけるdriver mutationとmutation burden
The Liver Cancer Journal Vol.11 No.1, 25-29, 2019
次世代シークエンサーの普及およびデータ解析技術の進歩により,ゲノム配列のハイスループットな解析が容易なものとなり,悪性腫瘍を含む多くの疾病のゲノム情報への直接的なアプローチが可能となっている。肝細胞癌においても網羅的ゲノム解析が数多くの症例で行われ,driver mutation やmutation signatureの解析が進み,肝発癌・進行メカニズムが遺伝学的側面から詳らかにされつつある。一方で,肺癌や腎癌などにおいてはmutation burden(腫瘍の変異負荷)の多い症例において,免疫チェックポイント阻害薬の治療効果が高い傾向があることが報告されており,mutation burdenの多寡が治療効果に直結する可能性が示唆されている。肝細胞癌においても複数の免疫チェックポイント阻害薬の治験が進行しており,ゲノム異常と病態形成の関連性の十分な理解は,今後よりいっそう重要性を増すものと考えられる。
「KEY WORDS」肝細胞癌,次世代シークエンサー,driver mutation,mutation signature,mutation burden
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。