肝細胞の起源や肝再生における細胞の増殖メカニズム,あるいは肝臓にできる癌の発生メカニズムはいまだ不明な点が多いが,近年の幹細胞を用いた研究によって徐々に明らかになりつつある。肝細胞癌治療においては有効性の高い薬剤の臨床導入によって治療成績は向上している。しかし,さらなる薬剤開発には優れたin vitroin vivoモデルが不可欠である。ES細胞やiPS細胞といった多能性幹細胞を用いた肝臓モデルの構築,さらに三次元モデルとして生体内の組織や臓器に類似したオルガノイドの開発も積極的に行われている。
本座談会では,肝細胞のバイオロジーに基づいた肝再生のメカニズムの解明,肝臓モデルの構築からみえてきた治療薬の開発について,4人の先生方にご討議いただいた。