肝細胞癌(肝癌)は,慢性肝疾患,特に肝硬変と関連している。発生原因として,B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスが挙げられるが,その他アルコール性肝障害などの肝疾患や,nonBnonC型肝癌の増加が報告されている。肝切除,局所凝固療法,肝移植などの根治治療の適応として見つかる肝癌症例は,全体の約20-30%程度に限定されており,予後不良な癌種のひとつである。肝硬変に至ると,年発癌率は8%に及び,肝癌結節の完全な切除を行っても,遺残肝に残る肝硬変のため,術後再発は5年で70%にも及ぶ。結果として5年生存率はいまだ15%に満たない。実際,肝癌は世界の癌関連死亡原因の第2位で,毎年約80万人が新たに肝癌と診断され,約70万人の死亡が報告されている1)