Topics of HCC
肝線維化の定量と発癌リスク
②発癌リスク因子としての臨床的意義の検討
The Liver Cancer Journal Vol.8 No.2, 106-109, 2016
肝細胞癌の発生は,慢性肝炎患者において最も予後を左右する因子であり,肝線維化の進展に伴い発癌リスクが上昇することが知られている。ウイルス性肝炎では,B型肝炎に対する核酸アナログ製剤やC型肝炎に対する直接作用型抗ウイルス薬(Direct Acting Antivirals;DAAs)といった抗ウイルス療法の登場により,線維化進展を抑止する時代へと変遷している。肝線維化の進展度を測定する方法にも,超音波やMRIを用いた非侵襲的な測定方法が加わり,従来から行われている肝生検は必ずしも必須でないと考えられつつある。一方で,上記のような抗ウイルス療法を行いながらも発癌を来す症例は存在し,発癌リスク予測のさらなる向上が求められている。
本稿では,肝線維の定量という技術を用いた発癌リスク予測について概説する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。