<< 一覧に戻る

日本肝がん分子標的治療研究会

第12回優秀演題論文集 Session11 ソラフェニブによるBCRP遺伝子調節機構の解析

藤井翔子桧貝孝慈松尾和廣永井英成

The Liver Cancer Journal Vol.7 No.4, 80-81, 2015

「背景」われわれは肝細胞癌の薬物治療において,分子標的薬ソラフェニブを先行投与すると5-Fluorouracil(5-FU)の抗腫瘍効果が増強されることを臨床データとしてすでに報告している1)。そして,ソラフェニブによる5-FU感受性増大の1つの要因として,ソラフェニブは5-FUの不活化酵素であるDPYD遺伝子発現の低下を誘導し,5-FUの不活化抑制を引き起こす機構が,培養肝癌細胞株HepG2を用いた系で示唆された。一方で,ソラフェニブはRaf/MEK/MAPK経路の主要なシグナル伝達を抑制することから,ほかの5-FUの代謝や排出に関与する遺伝子発現への影響が考えられる。そこで,5-FUやさまざまな薬剤輩出トランスポーターであるABCファミリーのbreast cancer resistance protein(BCRP)に着目した。BCRPは,ABC結合カセット輸送体ファミリーのsubfamily Gに分類される(ATP-binding cassette transporter G2:ABCG2)。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る