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日本肝がん分子標的治療研究会

第12回優秀演題論文集 Session10 肝細胞癌標的治療薬としてのDPP-4阻害薬の分子生物学的解析

仁科惣治山内明小山展子富山恭行吉岡奈穂子原裕一日野啓輔

The Liver Cancer Journal Vol.7 No.4, 78-79, 2015

「背景と目的」肝細胞癌(HCC)は依然として悪性腫瘍による死因の上位を占める疾患であるが,分子標的薬としてはソラフェニブが認可されているのみである。しかも,有効性と副作用の両面からいまだ多くの課題が存在し,加えて次世代の治療薬候補が存在しない。こうした状況において,すでに臨床で使用されている薬剤のなかからHCCに抗腫瘍効果を示す薬剤を見出し,その作用機序を明らかにすることは,新規薬剤の開発と比べてきわめて短期間にかつ低コストに,臨床応用可能なHCC治療薬を開発しうる可能性がある。インスリン抵抗性は肝発癌の重要な病態であり,このためHCC患者は高頻度に糖尿病を合併する。Dipeptidyl peptidase-4(DPP-4)阻害薬は臨床的に広く投与されている抗糖尿病薬の1つであるが,DPP-4はCD26とも呼ばれ細胞外ペプチターゼ機能以外にも,免疫調節作用などの多様な機能を有した膜蛋白である。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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