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日本肝がん分子標的治療研究会

第12回優秀演題論文集 Session9 ソラフェニブとTACEを併用し,長期生存を得ることができた1例

大原芳章坂本梓斎藤澄夫西島規浩那須章洋米門秀行喜多竜一木村達大﨑往夫

The Liver Cancer Journal Vol.7 No.4, 76-77, 2015

「はじめに」2009年にソラフェニブが使用されるようになり,新たなる分子標的薬や併用療法などはいまだ確立されていない。SHARP trial1)やAsia-Pasific trial2)でプラセボ群と比較して,有意にoverall survival(OS)の延長を認め(SHARP trial:OSの中央値はプラセボ群の7.9ヵ月に対してソラフェニブ群では10.7ヵ月,Asia-Pasific trial:OSの中央値はプラセボ群の4.2ヵ月に対してソラフェニブ群では6.5ヵ月),その忍容性もが認められている唯一の分子標的薬と言える。しかし,その併用療法や集学的治療については現在,科学的根拠となるstudyが進行中ではあるが確立はしていない。今回,われわれはカテーテル治療との併用によって長期生存を得られた1例を経験したのでここに報告する。
「症例」症例は80歳男性。C型肝炎にて1990年代にインターフェロン治療を受けるも,SVRにならずその後,2009年に肝細胞癌を指摘され他院にて肝動脈化学塞栓療法(TACE)5回,ラジオ波焼灼療法(RFA)4回,放射線治療を25回(50Gy)受けるも治療効果が芳しくなく門脈腫瘍栓を来し,また血管が枯れ枝状になりTACE不能と判断され当院に紹介受診された。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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