「はじめに」肝血管肉腫は肝原発腫瘍では非常に稀な腫瘍である。本症例は腹腔内破裂を契機に来院し,肝動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)後に外科的切除となった。早期の段階では切除標本からの診断が困難であったが,17ヵ月経過し,進行後に肝腫瘍生検により診断へ至った1例を経験したので報告する。
「症例」現病歴:40歳台,男性。中国出身。既往歴,生活歴に特記事項なし。2011年に中国での健診で肝血管腫を初回指摘。来日後,他院でΦ50mmの肝血管腫と診断され経過観察されていた。2012年4月に右上腹部痛を主訴に当院を受診した。CT上腹腔内出血を認め,肝血管腫の腹腔内破裂の疑いで緊急TAEを施行。数日後に肝後区域切除術(血管腫摘出術)を施行。来院時の血液検査所見を表1に示す。