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日本肝がん分子標的治療研究会

第5回日本肝がん分子標的治療研究会 ランチョンセミナー 肝癌に対する分子標的治療の現状と展望

幕内雅敏馬場秀夫

The Liver Cancer Journal Vol.4 No.2, 55-61, 2012

「癌細胞の生物学的特徴」わが国では癌による死亡が男女とも増加しており, 最近では年間約35万人が死亡しているといわれています. 癌細胞は正常細胞とは極めて異なる生物学的特性を有しており, アポトーシスから逃避して自己増殖シグナルを出し, 増殖抑制シグナルには不応で, 血管新生や無制限の細胞増殖を起こします. そして, やがては浸潤, 転移となります. 転移のメカニズムには, 原発巣から離れて転移臓器に至る物理的な流れと, 転移臓器にたどり着いたところで転移巣を形成する複雑なプロセスがあり, その間にさまざまな因子が絡んでいます. 原発巣は癌細胞だけでなく, 線維芽細胞や骨髄由来細胞など, さまざまな細胞から成っており, 相互に作用しながら原発巣での浸潤, 増殖を支え, また転移のプロセスを促進します. 最近では原発巣にある幹細胞が, 上皮間葉移行(epithelial-mesenchymal transition;EMT)によって間葉系細胞の性質を獲得して血管内に入り, 血流に乗って転移臓器に到達すると血管外に出て, 今度は間葉上皮移行(mesenchymal-epithelial transition;MET)により, 上皮系細胞の性質を獲得し, 転移巣を形成するという考え方が提唱されています.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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