東京大学消化器内科における肝細胞癌治療の取り組みについて, 同科教授の小池和彦先生にお話を伺った. 日本において, 現在, 肝細胞癌発生の基礎疾患はB型, C型肝炎ウイルス(HBV, HCV)の持続感染による慢性肝炎が約80%を占めている. しかし, 慢性炎症だけでは, 高頻度かつ多中心性という肝発癌の機序をすべて説明することはできない. 小池先生らは, このような臨床観察を出発点として研究を重ね, これまで肝炎ウイルス自体が肝発癌に直接関与していることなどを明らかにしてきた. 最近は, C型肝炎に代謝性疾患としての性質があることや, HBV, HCVの持続感染による慢性肝炎がベースにない肝癌が増加していることに着目して研究を行い, その成果を診療へ生かしつつあるという.
「東京大学大学院医学系研究科消化器内科の概要」「1. 歴史」東京大学大学院医学系研究科消化器内科は, 1998年の東京大学大学院大学化に伴う内科診療科の再編時に, 循環器内科や呼吸器内科などの他の内科とともに誕生した.