背 景
2009年5月,わが国において進行肝細胞癌に対してソラフェニブが承認され,その他の分子標的薬の開発も進行中である。一方,肝細胞癌患者の多くは肝硬変を合併しており,脾機能亢進症によりChild-Pugh scoreは良好であるものの血小板数が低値である症例が散見される。このような症例は,ソラフェニブをはじめとする分子標的薬による治療を制限されていることも多い。当科にて血小板低値肝細胞癌患者に対して部分脾動脈塞栓術(partial splenic embolization;PSE)を施行することにより分子標的薬の導入が可能となった症例を経験したので報告する。PSEは,マイクロカテーテルを選択的に脾動脈末梢枝に挿入し,金属コイルとゼラチンスポンジで塞栓する方法で行った(高塚法)1)。当科では脾臓以外の塞栓を防止するために事前に行った血管造影下CTを3D再構築し,血管走行の確認を行っている。また,脾臓の体積が大きい場合は1回の手技での塞栓率の目安を40%程度とし,2期的に行うことも考慮している。術後の支持療法として原則的にステロイドを3日間,NSAIDsおよび抗生剤を7日間使用した。
全文記事
日本肝がん分子標的治療研究会
第4回優秀演題論文集 Session11 脾動脈塞栓術(PSE)にて分子標的薬導入が可能となった血小板低値肝細胞癌症例
掲載誌
The Liver Cancer Journal
Vol.3 No.4 86-87,
2012
著者名
小笠原定久
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大岡美彦
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千葉哲博
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金井文彦
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横須賀 收
記事体裁
学会レポート
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症例
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全文記事
疾患領域
消化器
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癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
媒体
The Liver Cancer Journal
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。