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日本肝がん分子標的治療研究会

第4回優秀演題論文集 Session11 脾動脈塞栓術(PSE)にて分子標的薬導入が可能となった血小板低値肝細胞癌症例

小笠原定久大岡美彦千葉哲博金井文彦横須賀收

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 86-87, 2011

背 景
 2009年5月,わが国において進行肝細胞癌に対してソラフェニブが承認され,その他の分子標的薬の開発も進行中である。一方,肝細胞癌患者の多くは肝硬変を合併しており,脾機能亢進症によりChild-Pugh scoreは良好であるものの血小板数が低値である症例が散見される。このような症例は,ソラフェニブをはじめとする分子標的薬による治療を制限されていることも多い。当科にて血小板低値肝細胞癌患者に対して部分脾動脈塞栓術(partial splenic embolization;PSE)を施行することにより分子標的薬の導入が可能となった症例を経験したので報告する。PSEは,マイクロカテーテルを選択的に脾動脈末梢枝に挿入し,金属コイルとゼラチンスポンジで塞栓する方法で行った(高塚法)1)。当科では脾臓以外の塞栓を防止するために事前に行った血管造影下CTを3D再構築し,血管走行の確認を行っている。また,脾臓の体積が大きい場合は1回の手技での塞栓率の目安を40%程度とし,2期的に行うことも考慮している。術後の支持療法として原則的にステロイドを3日間,NSAIDsおよび抗生剤を7日間使用した。

症例1:60歳,男性。

 C型肝硬変を背景とする肝細胞癌を4年前に指摘され,肝動脈化学塞栓術(TACE)を9回行った。明らかな肝外病変や脈管侵襲を認めないもののTACE後早期に再発を認め,TACE無効と判断した。Child-Pugh分類A(5)であるものの血小板数が3.9万/μLと低値であることから,PSEを施行後,分子標的薬の導入を試みることとなった。肝内に多発する肝細胞癌を認めたため,腫瘍制御目的に一部の病変に対してTACEを同時に施行した。明らかな合併症なく経過し,術後35日目に血小板数6.0万/μLと上昇したことを確認したうえで,ソラフェニブを800mg/日にて開始した。ソラフェニブ開始6ヵ月後のdynamic CTにてSD(RECIST v1.1)を維持している(図1,2)。

症例2:48歳,男性。

 C型肝硬変を背景とする肝細胞癌を1年前に指摘され,TACEを4回施行した。TACE後早期再発を認め,TACE無効と判断した。Child-Pugh分類A(5)であるものの血小板数4.8万/μLと低値であったため,PSEを施行することとなった。症例1と同様に肝内病変に対してTACEをPSEと同時に施行した。合併症なく経過し,術後63日目に血小板数7.9万/μLと上昇を確認し分子標的薬(治験薬)導入となった(図3,4)。

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