<< 一覧に戻る

日本肝がん分子標的治療研究会

第4回優秀演題論文集 Session9 ソラフェニブ導入半年後にkeratoacanthomaを合併した進行肝細胞癌の一例

大濱日出子井倉技今井康陽福田和人澤井良之小来田幸世牧野祐紀大畑千佳角村由紀子黒川正典

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 82-83, 2011

はじめに
 ソラフェニブは,Llovetらによりはじめて肝細胞癌(HCC)に対して有効と報告された分子標的治療薬であり1),2009年5月にわが国でもHCCに対して保険適応になった。わが国におけるソラフェニブによる有害事象は欧米とは明らかに異なり,手足皮膚症候群や肝障害の頻度が高く,減量や休薬,中止の原因にもなっている。一方,欧米では最近本剤によるkeratoacanthoma(KA)や皮膚扁平上皮癌(squamous cell carcinoma;SCC)の合併が6~7%に報告されているが2)-5),わが国では2011年6月現在HCCおよび腎細胞癌合わせて約16,000例に使用されているにもかかわらずいまだ1例の報告もない。今回われわれはソラフェニブ導入半年後にKAを合併したHCCの1例を経験したので報告する。

症 例

 88歳,男性。B型肝硬変,潰瘍性大腸炎により近医通院加療中,HCCに対して2001年3月に肝左葉切除を施行した。2009年5月の造影CTで肝S8にφ11mm大の再発と約28mm大の横隔膜播種,右肺下葉,左副腎に転移を認めた。2009年8月,10月,12月に肝内病変に対し肝動脈化学塞栓療法を施行した。肝内病変は制御されていたが,転移病変,横隔膜播種病変が存在することからソラフェニブ導入目的で当院紹介受診となり,2010年2月9日よりソラフェニブ200mg/日を導入した。導入時体重48kg,身体所見に特記事項はなく,Child-Pugh score6点,腫瘍マーカーはAFP 2.44ng/mL,PIVKA-Ⅱ 2,030mAU/mLであった。導入後副作用としてCTCAE v4.0でgrade3の血小板減少,grade2の高血圧および下痢を認めたため,ソラフェニブ200~400mg/日で調整し,2010年10月の造影CTではmodified RECISTでSDであった。同時期より右前肘部に8mm大の腫瘤性病変を認め(図1)2),皮膚科で切除術を施行した。

病理組織学的に中央に角質増生を伴うcup-shapedの病変であり(図2A)2),明るい好酸性の胞体をもつ有棘細胞が表皮に連続して真皮内に増殖していた。

中央には著明な角栓形成を伴い,周囲の間質にはリンパ球浸潤がみられた(図2B)2)。肉眼的所見と病理所見よりKAと診断した。頭部MRIを施行したところ,転移性脳腫瘍を認めたため一時ソラフェニブを休薬,脳転移に対して定位放射線療法を施行後2011年6月よりソラフェニブ200mg/日で再開した。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る