はじめに  肝細胞癌(HCC)症例は,健常者または肝硬変(LC)症例に比しmRNAの接合(Fas transmembrane domainをもつexon6の特殊な接合)によって生成される血清可溶型Fas(sFas)が高値を示すことがすでに報告されている1)。そして,HCCのFas作動アポトーシスからの回避は,①細胞表面Fasの欠損,②sFasによるFas-ligand(Fas-L)の中和,③Fasのシグナルの欠損または抑制の3つの機序が想定されている。しかしながら,進行肝細胞癌(aHCC)合併LC症例において,癌細胞の増殖に関与するRafと癌周囲の血管新生に関与するVEGFRなどに対するmultikinase阻害剤であるソラフェニブ(SF) 2)の,Fasを含めた血清サイトカインの変動については検討の余地が残されている。