日本肝がん分子標的治療研究会
第4回優秀演題論文集 Session6 高齢者におけるソラフェニブ投与症例の臨床的検討
The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 76-77, 2011
背 景
ソラフェニブは,進行肝細胞癌に対するプラセボ対照による比較試験において,全生存期間中央値でソラフェニブ10.7ヵ月,プラセボ7.9ヵ月と統計的有意差(p<0.001)が得られた1)。日本人を含まない本試験では,対象患者の年齢中央値が64.9歳である。しかし,日本人の肝臓癌罹患者は,年齢別にみると75~79歳が最も多く2),高齢化が進んでいることがわかる。
目 的
高齢者では,成人に比べ薬物反応が過敏で副作用の発現も高いことが数多くの研究で示されている。この原因として,高齢者における薬物生体内動態が若年者に比較して大きく変化していることが考えられている。ソラフェニブは,主に肝臓(CYP3A4)で代謝され,胆汁/糞便を介して排泄される薬剤である。高齢者のソラフェニブ投与患者においては,若年者における用法・用量が適当か否か十分に検討されていないのが現状である。今回,高齢者肝細胞癌についてソラフェニブの忍容性に関する臨床的検討を行ったので報告する。
対象と方法
2009年7月~2011年3月の間に,杏林大学医学部付属病院(以下,当院)でソラフェニブが投与された13例の肝細胞癌患者を対象とした。70歳未満と70歳以上に分けて,治療状況,治療効果,薬理相互作用,副作用発現について後ろ向きに検討を行った。
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※記事の内容は雑誌掲載時のものです。