<< 一覧に戻る

日本肝がん分子標的治療研究会

第4回優秀演題論文集 Session5 肝細胞癌に対するソラフェニブの有害事象と予後因子:多施設での検討

中野聖士佐田通夫Kurume Liver Cancer Study Group

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 74-75, 2011

目 的
 近年ソラフェニブが無治療症例と比較して切除不能肝細胞癌症例の予後を改善することが証明され,わが国でも2009年5月に治療適応が承認された。しかし,高頻度に発生する有害事象対策や投与症例の選択基準など,解決されていない問題は依然多い。
 そこでわれわれは,久留米大学関連施設のソラフェニブ投与症例のデータを集めて肝細胞癌領域でのよりよい使用法を解析するとともに,今後の切除不能肝細胞癌症例に対する治療のなかで分子標的治療薬をどのように使用するかを検討することを目的とし,2010年2月23日にKurume Liver Cancer Study Groupを発足した。
 Kurume Liver Cancer Study Groupの参加施設は,朝倉医師会病院,大牟田市立病院,九州医療センター消化器科,久留米第一病院,久留米大学医療センター,久留米大学病院,公立八女総合病院,佐賀社会保険病院,社会保険田川病院,聖マリア病院,筑後市立病院,戸畑共立病院である(50音順)。

方 法

 われわれは2009年5月~2010年12月の期間に久留米大学関連施設でソラフェニブを投与された切除不能肝細胞癌96症例を対象とし,背景・有害事象・効果について検討した。効果判定はRECISTガイドライン(Ver.1.1) 1),副作用判定はCTCAEによるグレード分類(Ver.4.0) 2)を用いて行った。

結 果

 平均年齢は70.4歳,男性76例・女性20例で,HBsAg陽性20例・HCVAb陽性59例・その他17例であった。投与開始時の腫瘍進行度は,StageⅠ5例・Ⅱ 18例・ⅣA 12例・ⅣB 61例で,主な肝外転移は,肺41例・骨14例・リンパ節12例であった。投与前の主な治療歴は,TACE 48例・動注化学療法34例・肝切除術25例・RFA 23例であった。初回投与量は,800mg 50例・600mg 8例・400mg 37例・200mg 1例で,1日平均投与量は510mgであった。期間中に40例が死亡し,平均投与期間は4.2ヵ月・平均観察期間は6.5ヵ月で,すでに71例で投与を中止し,中止例の平均投与期間は3.5ヵ月であった。何らかの有害事象を86例に認め,主な事象は手足皮膚反応49例・下痢23例・脱毛13例・肝機能障害13例・全身倦怠感11例であった。重篤な有害事象としては,間質性肺炎1例・腫瘍崩壊症候群1例があり,投与中止の理由となったほかの事象は,肝機能障害8例・手足皮膚反応7例・下痢4例・高血圧症3例・腹水2例・皮疹2例・全身倦怠感2例・その他6例であった。30日以上内服可能であった72例に対して効果判定を行ったところ,PR 12例・SD 36例・PD 24例であった。Kaplan-Meier法による生存分析を行ったところ,生存期間の中央値は11.6ヵ月(図1),無増悪期間の中央値は3.2ヵ月であった。

Cox比例ハザード分析により予後因子の比較検討を行ったところ,単変量解析(表1)では治療前AFP値(1,000ng/mL以上,p=0.036)・治療前DCP値(1,000mAU/mL以上,p=0.003)・投与期間(30日以上,p=0.012)が有意な予後予測因子であり,多変量解析(表2)では治療前DCP値(p=0.004)・投与期間(p=0.016)が有意な予後予測因子であった。

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る