はじめに  進行肝細胞癌患者に対して分子標的薬ソラフェニブが2009年5月にわが国でも保険適用となった。ソラフェニブの有効性に関しては,SHARP試験1)ならびにAsia-Pacific試験2)で実証されている。Median overall survival(OS)は,SHARP試験ではソラフェニブ群10.7ヵ月に対してプラセボ群7.9ヵ月(p<0.001,HR0.69)で,Asia-Pacific試験ではソラフェニブ群6.5ヵ月に対してプラセボ群4.2ヵ月(p=0.014,HR0.68)であり,生存期間延長効果が明確に示された。奏効率はRECIST基準にてSHARP試験で2%,Asia-Pacific試験で3%にとどまっているが,ソラフェニブ投与により明らかな予後延長効果が示されていることから,ソラフェニブには病勢進行を抑えることで結果的にOSを延長させる効果があると考えられ,long stable disease(SD)を目標に治療を行うことが推奨されている。今回当院におけるソラフェニブ投与例において,SDの持続期間という観点からOSに与える影響について比較検討を行った。