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日本肝がん分子標的治療研究会

第4回優秀演題論文集 Session4 進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与例におけるSDの持続期間と生存期間の検討

有住忠晃上嶋一臣工藤正俊

The Liver Cancer Journal Vol.3 No.4, 72-73, 2011

はじめに
 進行肝細胞癌患者に対して分子標的薬ソラフェニブが2009年5月にわが国でも保険適用となった。ソラフェニブの有効性に関しては,SHARP試験1)ならびにAsia-Pacific試験2)で実証されている。Median overall survival(OS)は,SHARP試験ではソラフェニブ群10.7ヵ月に対してプラセボ群7.9ヵ月(p<0.001,HR0.69)で,Asia-Pacific試験ではソラフェニブ群6.5ヵ月に対してプラセボ群4.2ヵ月(p=0.014,HR0.68)であり,生存期間延長効果が明確に示された。奏効率はRECIST基準にてSHARP試験で2%,Asia-Pacific試験で3%にとどまっているが,ソラフェニブ投与により明らかな予後延長効果が示されていることから,ソラフェニブには病勢進行を抑えることで結果的にOSを延長させる効果があると考えられ,long stable disease(SD)を目標に治療を行うことが推奨されている。今回当院におけるソラフェニブ投与例において,SDの持続期間という観点からOSに与える影響について比較検討を行った。

対象と方法

 当院において2009年5月~2010年11月までの1年6ヵ月の間に進行肝細胞癌に対してソラフェニブを導入した112例を対象とした。平均年齢は70歳,男性78例・女性34例,HBV:HCV:NBNC=24例:60例:28例,StageⅢ:ⅣA:ⅣB=54例:26例:32例であった。全症例に対して4~6週間ごとに造影CTもしくはEOB-MRIを施行しmodified RECIST(mRECIST)基準3)による治療効果判定を行った。そのなかからcomplete response(CR)とpartial response(PR)もしくはSDと診断された症例を抽出しSDの期間とOSとの関係をretrospectiveに検討した。

結 果

 ソラフェニブを導入した112例のうち,投与前もしくは投与後で画像による効果判定ができなかった症例は31例であった。残りの81例においてmRECISTによる効果判定が行われ,その結果はCR2例,PR 16例,SD 36例,PD 27例であり,SDの持続期間の中央値は3.3ヵ月であった。そこでSDの持続期間が3ヵ月未満と3ヵ月以上の2群に分け,前者をshort SD群,後者をlong SD群と分類した。CR+PR群(18例),short SD群(14例),long SD群(22例)の3群で生存期間の関係を比較した。3群間で性別のみ統計学的有意差(p=0.018)を認めたが,その他の因子では統計学的な有意差は認めなかった(表1)。

3群間で生存曲線を比較したところ,short SD群のOSの中央値は6.2ヵ月(95%CI:4.7~7.3),long SD群のOSの中央値は17.6ヵ月(95%CI:10.4~23.6),CR+PR群のOSの中央値は19.1ヵ月(95%CI:14.2~23.8)であり,short SD群では明らかにOSが短くlong SD群とCR+PR群のOSには統計学的に差がなかった(p<0.0001)(図1)。

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