緒 言  血管新生は悪性腫瘍の増生に重要である1)。血管新生前は腫瘍細胞の栄養は受動的拡散により運ばれているが,急激な腫瘍増殖には悪性腫瘍を栄養する毛細血管新生が必要となる2)。ソラフェニブはmultikinase inhibitorで,腫瘍の血管新生を抑える3)。  造影超音波は非侵襲的で,腎機能の低下やCT造影剤のアレルギーがある場合にも使用可能で,血流の感度が良いため,ヒトにおいて各種の癌に対する分子標的薬の早期の効果予測に応用され,その有用性が報告されている4)5)。造影超音波の血流変化とその病理組織学的変化における検討は動物において報告されているが,ヒトでの報告はされていない6)。  今回,ソラフェニブを用いた肝細胞癌(HCC)治療の血流評価法としての3-dimensional(3D)造影超音波の所見と病理組織像を検討した。