はじめに  第47回米国臨床腫瘍学会年次集会(ASCO2011)が6月3~7日まで米国シカゴで開催された。3万人が参加した本学会ではがん治療に関する最新の動向が議論された。ここ数年のがん薬物療法の中心である分子標的薬とその薬剤に効果を反映したバイオマーカー研究そして個別化治療が最も関心の高い研究であった。プレナリーセッションでは切除された消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;GIST)に対する術後イマチニブの投与期間を検証するSSGXVⅢ/AIO試験の最終報告,高悪性度の神経芽細胞腫に対するHR-NBL1/SIOPEN試験結果,若年急性リンパ芽球性白血病患者に対するAALL023試験,さらに悪性黒色腫に関する報告2演題があった。一般口頭演題やポスターセッションでも注目すべき報告が各分野で報告された。本稿ではASCO2011における肝細胞癌に関する報告を取り上げ紹介する。