はじめに  マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブは,SHARP study 1),Asia-Pacific study 2)において進行性肝細胞癌(HCC)の生命予後を改善することが示された,初めてのHCCに対する分子標的治療薬である。2009年5月より本邦でも切除不能なHCCに対し保険適応となり,多くの症例に用いられるようになったが,適切な導入時期や投与法などいまだ確立されていない点も多い。今回,当科および関連施設におけるソラフェニブ使用症例を対象として,その安全性や治療成績について解析したので報告する。